Game Jamから学ぶ
Vibe Coding Game Jam 2025
2025年、ゲーム開発コミュニティで画期的なイベントが開催されました。
Vibe Coding Game Jam ——AIを使ってゲームを作るコンテストです。
このイベントには 1,000以上 のゲームが応募されました。参加者たちは、vibe codingの可能性に期待を寄せていました。
しかし、結果は厳しい現実を突きつけるものでした。
30%が動作せず
審査の結果、衝撃的な統計が明らかになりました。
応募作品の30%が適切に動作しなかった。
「動作しない」とは、以下のような状態を指します。
動作しなかったゲームの例:
- 起動直後にクラッシュ
- 特定の操作でフリーズ
- 画面が真っ白のまま
- エラーメッセージが表示される
- ゲームループが正常に動作しない
vibe codingで「作った」つもりでも、実際には動作しない ものが3分の1近くあったのです。
AI生成コードの構造の悪さが原因
なぜ、これほど多くのゲームが動作しなかったのでしょうか。
主な原因:構造の悪いコード(poorly structured code)
AIが生成するコードは、局所的には正しく見えます。しかし、複数のパーツを組み合わせると、構造的な問題が発生します。
よくある問題:
| 問題 | 結果 |
|---|---|
| 初期化順序の不整合 | 起動時クラッシュ |
| イベントハンドラの重複登録 | メモリリーク |
| 状態管理の破綻 | 予期しない動作 |
| リソースの解放漏れ | パフォーマンス低下 |
| 非同期処理の競合 | フリーズ |
これらは、AIがコード全体の「構造」を理解していないことに起因します。
15%にセキュリティ脆弱性
動作した70%のゲームにも、問題がありました。
15%に明らかなセキュリティ脆弱性 が存在していたのです。
「ゲームにセキュリティ?」と思うかもしれません。しかし、オンラインゲームやブラウザゲームには、確実にセキュリティが必要です。
発見された脆弱性:
-
露出したAPIキー
- ゲームのソースコードやネットワーク通信にAPIキーが平文で含まれていた
-
クライアントサイドのペイウォール
- 課金確認がクライアントで行われ、開発者ツールで簡単にバイパス可能
-
不正なスコア送信が可能
- サーバーサイドの検証なしに、任意のスコアを送信できた
趣味のゲームであっても、セキュリティの問題は存在するのです。
50人でクラッシュ
特に問題となった事例があります。
あるマルチプレイヤーゲームは、50人以上の同時接続でクラッシュ しました。
開発者はローカルで数人のテストプレイを行い、「動作する」と確認しました。しかし、本番環境で多くのプレイヤーが同時接続すると、サーバーは耐えられませんでした。
問題の原因:
- バックエンドサポートの欠如
- スケーラビリティを考慮していない設計
- 同時接続数のテスト不足
- リソース管理の不備
vibe codingで生成されたコードは、「小規模な動作確認」は通過しても、「本番規模の負荷」には耐えられないことが多いのです。
なぜゲームでこれほど問題が起きるか
ゲーム開発は、一般的なWebアプリケーションとは異なる難しさがあります。
ゲーム開発の特殊性:
-
リアルタイム性
- 毎フレーム(60fps = 毎秒60回)の処理が必要
-
状態の複雑さ
- ゲーム内の多数のオブジェクトが相互作用
-
パフォーマンス要件
- 遅延は即座にプレイ体験に影響
-
エッジケースの多さ
- プレイヤーは予想外の操作をする
-
マルチプレイヤーの同期
- 複数クライアント間の状態同期
これらの要件は、「とりあえず動く」コードでは満たせません。
趣味でも学びがある
Game Jamは、趣味のイベントです。参加者のほとんどは、賞金目当てではなく、楽しみのために参加しています。
しかし、この「趣味のイベント」から、重要な学びがあります。
Game Jamからの学び:
-
vibe codingは「完成」まで持っていくのが難しい
- 30%が動作しないということは、「完成」できなかったということ
-
規模が大きくなると破綻する
- 小規模では動くが、本番規模では動かない
-
セキュリティは意識しないと実装されない
- 「ゲームだから」は言い訳にならない
-
テストの重要性
- 「自分のマシンで動く」は保証にならない
本番環境との類似性
ゲームジャムで起きた問題は、実は 本番環境のWebサービスで起きる問題と同じ です。
類似性:
| Game Jam | 本番サービス |
|---|---|
| 30%が動作しない | デプロイ後のバグ |
| 50人でクラッシュ | 負荷でダウン |
| APIキー露出 | 機密情報漏洩 |
| ペイウォールバイパス | 決済詐欺 |
Game Jamの失敗は、本番サービスで起きる失敗の「プレビュー」なのです。
vibe codingに適した用途
では、vibe codingはゲーム開発に向いていないのでしょうか?
向いているケース:
- プロトタイプ作成
- ゲームメカニクスの検証
- シンプルなシングルプレイヤーゲーム
- 使い捨てのデモ
向いていないケース:
- マルチプレイヤーゲーム
- 課金システムを含むゲーム
- 長期運用するゲーム
- パフォーマンスが重要なゲーム
Karpathy自身が言っていたように、vibe codingは 「使い捨ての週末プロジェクト向け」 なのです。
この事例から学ぶべき教訓
Game Jam 2025から学ぶべきことは以下の通りです。
-
「動く」ことを過信するな
- 30%は動作しなかった
-
規模の問題を軽視するな
- 小規模で動いても、本番規模では破綻する
-
趣味でもセキュリティは必要
- 15%に脆弱性があった
-
構造の問題は後から発覚する
- AIは局所的にしかコードを見ない
-
vibe codingの限界を理解せよ
- プロトタイプには良いが、完成品には向かない
まとめ:重要ポイントの振り返り
- 2025年のVibe Coding Game Jamに1,000以上の作品が応募
- 30% が適切に動作せず(構造の悪いコードが原因)
- 15% に明らかなセキュリティ脆弱性
- マルチプレイヤーゲームは50人でクラッシュ
- 趣味のプロジェクトでも本番と同じ問題が発生
- 教訓:「動く」ことを過信するな