「Author」から「Editor」へ
AI時代のエンジニアの役割変化
AIコーディングツールの普及により、開発者の役割が変化しています。
従来: Author(著者)
- コードを一から書く
- 設計を考える
- 実装を行う
現在: Editor(編集者)
- AIが生成したコードをレビュー
- 修正・調整を行う
- 品質を担保
この変化は、必ずしも悪いことではありません。問題は、その変化にどう適応するかです。
良いEditorの条件
「Editor」として成功するには、条件があります。
条件1: 「良い原稿」を見分けられる
- AIの出力が正しいか判断できる
- セキュリティの問題を発見できる
- パフォーマンスの問題を発見できる
条件2: 「悪い原稿」を修正できる
- 問題点を特定できる
- 適切な修正を加えられる
- 全体の整合性を保てる
条件3: 「発注」ができる
- 適切なプロンプトを書ける
- 要件を明確に伝えられる
- 分割して依頼できる
vibe coderは「悪いEditor」
vibe coderは、悪いEditor です。
悪いEditorの特徴:
-
原稿を読まない
- Accept Allで受け入れる
- 内容を確認しない
-
品質を判断できない
- 良いコードと悪いコードの区別がつかない
- セキュリティの問題に気づかない
-
修正ができない
- 問題があっても直せない
- AIに「直して」と言うだけ
-
発注が曖昧
- 「〇〇を作って」としか言えない
- 要件を具体化できない
これでは、AIの能力を引き出すことができません。
「Editor」に必要なスキル
良いEditorになるには、以下のスキルが必要です。
スキル1: コードリーディング
AIが書くので、自分で書くスキルは減っても良い。しかし、読む力 は必須です。
- コードの意図を理解する
- 問題点を発見する
- 改善点を見つける
スキル2: コードレビュー
AIの出力をレビューする能力。
- セキュリティのチェック
- パフォーマンスのチェック
- 保守性のチェック
スキル3: 要件定義
AIに何を依頼するか明確にする能力。
- 機能要件を具体化
- 非機能要件を明示
- 制約条件を伝える
スキル4: アーキテクチャ設計
全体の設計を行う能力。
- システム構成を決める
- コンポーネント分割を行う
- 責務を明確にする
Authorとしての基礎
しかし、良いEditorになるには、Authorとしての基礎 が必要です。
「自分で書けないコードをレビューすることはできない」
理由:
-
品質の基準がない
- 良いコードを書いた経験がないと、良いコードが分からない
-
問題の発見ができない
- 書いた経験がないと、問題点が見えない
-
修正の方向性が分からない
- どう直すべきか判断できない
つまり、Editorになる前に、Authorの経験が必要 です。
「書ける人がレビューする」原則
ソフトウェア開発には、重要な原則があります。
「書ける人がレビューする」
- コードを書ける人が、コードをレビューする
- 設計できる人が、設計をレビューする
- セキュリティが分かる人が、セキュリティをレビューする
vibe coderは、この原則に違反しています。
書けない人が「レビュー」している のです。それは、レビューではありません。
AI開発への段階的な移行方法
AuthorからEditorへの移行は、段階的 であるべきです。
推奨される移行パターン:
Phase 1: Pure Author(初心者〜3年)
- AIを補助的に使用
- 基本は自分で書く
- スキルを身につける
Phase 2: Author + AI(3年〜5年)
- AIを積極的に活用
- 自分で書けるが、AIで加速
- AIの出力を的確にレビュー
Phase 3: Editor(5年以上)
- AIに多くを任せる
- 設計とレビューに集中
- 品質を担保する
問題:
vibe coderは、Phase 1をスキップしてPhase 3に行こうとしています。基礎がないまま「Editor」になっても、良いEditorにはなれません。
「指揮者」のメタファー
良いEditorは、オーケストラの指揮者 のようなものです。
指揮者の条件:
-
各楽器を理解している
- 自分で演奏できなくても、音を聞き分けられる
- 各楽器の特性を知っている
-
全体のバランスを取れる
- どこが弱いか、強いか判断できる
- 調整できる
-
楽譜を読める
- 作曲者の意図を理解
- 解釈を加えられる
vibe coderは:
- 楽器を理解していない
- バランスを判断できない
- 楽譜を読めない
これでは指揮者にはなれません。
Editorとしての成長
良いEditorとして成長するためのアドバイスがあります。
アドバイス1: まずAuthorとしての基礎を身につける
- プログラミングの基礎を学ぶ
- 自分でコードを書く経験を積む
- AIなしでも問題を解ける力を持つ
アドバイス2: レビュースキルを磨く
- 他人のコードをレビューする
- オープンソースのPRを読む
- セキュリティの観点を学ぶ
アドバイス3: プロンプトエンジニアリングを学ぶ
- 効果的なプロンプトの書き方
- AIの特性を理解
- 分割と具体化の技術
アドバイス4: アーキテクチャを学ぶ
- 設計パターン
- システムアーキテクチャ
- マイクロサービス、モノリス
この事例から学ぶべき教訓
「AuthorからEditorへ」から学ぶべきことは以下の通りです。
-
役割はAuthorからEditorへ変化している
- これ自体は悪いことではない
-
良いEditorには条件がある
- 読める、判断できる、修正できる、発注できる
-
vibe coderは悪いEditor
- 読まない、判断できない、修正できない
-
Authorの基礎がなければ、良いEditorにはなれない
- 書けないコードはレビューできない
-
段階的な移行が必要
- Phase 1をスキップするな
まとめ:重要ポイントの振り返り
- 開発者の役割は Author(著者)からEditor(編集者)へ 変化
- 良いEditorの条件:読める、判断できる、修正できる、発注できる
- vibe coderは 悪いEditor :読まない、判断できない、修正できない
- 「書ける人がレビューする」原則 :書けない人はレビューできない
- 段階的な移行 が必要:基礎なしにEditorにはなれない
- 良いEditorは 指揮者 のよう:各楽器を理解し、全体を導く
- 教訓:Editorになりたければ、まずAuthorになれ