AI開発アンチパターン 2025年10月11日

疑似開発者問題:AIで開発者になれるという幻想

vibe codingは、新しいタイプの人材を生み出しました。 **「疑似開発者(Pseudo-Developer)」** 彼らは「コードを書ける」と主張します。しかし、実際には **AIに代筆させている** だけです。

川西智也

合同会社ロイヤルピース 代表

「疑似開発者」の誕生

新しいタイプの「開発者」

vibe codingは、新しいタイプの人材を生み出しました。

「疑似開発者(Pseudo-Developer)」

「vibe codingが生み出す根本的な問題は、『疑似開発者』を生み出すことだ。コードを生成できるが、理解、デバッグ、保守はできない人々のことだ」

彼らは「コードを書ける」と主張します。しかし、実際には AIに代筆させている だけです。


vibe codingで生まれる「疑似開発者」の特徴

疑似開発者には、いくつかの特徴があります。

特徴1: コードを生成できる

AIに依頼すれば、コードが出てくる。「私はコードを書ける」と言える。

特徴2: コードを理解できない

生成されたコードの意味を説明できない。「なぜこうなっているか」と聞かれると答えられない。

特徴3: デバッグできない

エラーが出ると途方に暮れる。AIに「直して」と言うしかない。

特徴4: メンテナンスできない

既存のコードを修正できない。コードベースに「触れない」。


vibe coderの面接での露呈

疑似開発者の問題は、面接で露呈 します。

典型的な面接シナリオ:

面接官: 「このコードのバグを見つけてください」
候補者: 「(AIがないと...)」

面接官: 「なぜこのアプローチを選んだのですか?」
候補者: 「AIが生成したので...」

面接官: 「このデータ構造の計算量は?」
候補者: 「...」

AIツールが使えない面接環境では、疑似開発者は 何もできません


Stack Overflowの調査

Stack Overflowの2025年調査は、興味深い結果を示しました。

調査結果:

  • AIツールを使用する開発者の多くが「自分のスキルに自信を失った」と回答
  • ジュニア開発者への影響が特に深刻
  • 面接でのコーディングテストに失敗するケースが増加

“A new worst coder has entered the chat: vibe coding without code knowledge” 「新しい最悪のコーダーが登場した:コード知識なしのvibe coder」 — Stack Overflow Blog(2025年8月)


AI開発ツール依存の進行パターン

疑似開発者への道は、段階的に進行 します。

依存の段階:

Stage 1: 補助として使用
  - 時々AIに聞く
  - 基本は自分で書く

Stage 2: 頻繁に使用
  - まずAIに聞く
  - 自分で書くことが減る

Stage 3: 常時使用
  - AIなしでは書けない
  - 補助輪を外せない

Stage 4: 完全依存
  - AIの出力を理解しようともしない
  - Accept Allが習慣に

Stage 5: 疑似開発者
  - 「コードを書ける」と主張
  - しかし理解・デバッグ・保守は不能

多くのvibe coderは、Stage 4-5にいます。


AI開発スキルのキャリアへの影響

疑似開発者であることは、キャリアに深刻な影響を与えます。

影響1: 採用されにくい

  • 面接でスキルを証明できない
  • コーディングテストに失敗

影響2: 昇進できない

  • シニアになるにはコードを理解する必要
  • 他人のコードをレビューできない

影響3: 解雇されやすい

  • 問題発生時に対処できない
  • 「使えない」と判断される

影響4: 「最初に置き換えられる」

「最初に置き換えられるのはvibe coderだ。生き残るのは、ツールを導ける人々だ」


ジュニア開発者への警告

特にジュニア開発者への警告があります。

「ジュニア開発者にとって、vibe codingはキャリアの死の罠だ。業界の専門家たちは一貫して『今キャリアにとって最悪の選択肢』だと警告している」

Catch-22(進退両難):

経験がない

AIに頼る

理解せずにコードを受け入れる

経験が蓄積されない

さらにAIに頼る

(無限ループ)

最初から疑似開発者になってしまうと、真の開発者になる道が閉ざされます


AI開発が抱える究極のパラドックス

AIコーディングには、究極のパラドックスがあります。

「残酷なパラドックスがある。AIを最も効果的に使える人は、AIを最も必要としない人々だ。彼らは推測するためではなく、加速するためにAIを使う専門家たちだ」

パラドックスの構造:

  • 専門家:AIを「加速」に使う → 効果的
  • 初心者:AIを「代替」に使う → 疑似開発者になる

vibe coding疑似開発者から脱出する方法

疑似開発者から脱出する方法があります。

脱出方法:

  1. 基礎を学ぶ

    • プログラミングの基礎
    • データ構造とアルゴリズム
    • 1つの言語を深く理解
  2. AIなしで書く練習

    • 簡単な課題をAIなしで解く
    • 時間がかかっても自力で
  3. AIの出力を理解する

    • Accept Allをやめる
    • 生成されたコードを説明できるようになる
  4. デバッグスキルを身につける

    • エラーメッセージを読む
    • ログを分析する
    • ステップ実行する

この事例から学ぶべき教訓

「疑似開発者」から学ぶべきことは以下の通りです。

  1. 疑似開発者は「生成できるが理解できない」

    • デバッグも保守も不能
  2. 面接で露呈する

    • AIがない環境では何もできない
  3. 依存は段階的に進行する

    • 補助→常時→完全依存→疑似開発者
  4. キャリアに深刻な影響

    • 採用されにくい、昇進できない、解雇されやすい
  5. 脱出方法はある

    • 基礎を学ぶ、AIなしで書く、理解する

まとめ:重要ポイントの振り返り

  • 疑似開発者 :コード生成できるが、理解・デバッグ・保守は不能
  • 面接で 露呈 する:AIがないと何もできない
  • 依存は 段階的に進行 :補助→常時→完全依存
  • キャリアに 深刻な影響 :採用・昇進・解雇
  • パラドックス :AIを効果的に使えるのは、AIを必要としない専門家
  • 教訓:疑似開発者にならないために、基礎を学べ

実践的なスキルを習得しませんか?

ブログで学んだ知識を、研修で実践に変えましょう。