CTOたちの証言
現場からの声
vibe codingの問題は、理論だけではありません。実際にプロダクション環境で問題を経験したCTOやエンジニアリングリーダーたちの証言を紹介します。
AI生成コードの権限システムの時限爆弾
Patric Edwards(Cirrus Bridge創業者)の証言:
“A junior developer used a combination of AI code suggestions and Stack Overflow snippets to ‘vibe’ their way through building a user permission system. It worked in development, passed tests, and even survived initial QA. However, two weeks after launch, we discovered that users with deactivated accounts could still access certain backend tools.”
事件の詳細:
- ジュニア開発者がAIとStack Overflowで権限システムを構築
- 開発環境で動作、テスト通過、初期QAも通過
- 本番稼働2週間後に発覚
- 非アクティブ化されたアカウントがバックエンドツールにアクセス可能
結果:
- シニアエンジニアが2日間かけてコードを解読・修正
- 「Trust debt(信頼負債)」の概念を導入
- AI生成コードへのレビュー強化
Cursor CEOの警告
Michael Truell(Cursor CEO)の発言:
“Vibe coding refers to a method of coding with AI where you kind of close your eyes and you don’t look at the code at all… If you close your eyes and you don’t look at the code and you have AIs build things with shaky foundations as you add another floor, and another floor, things start to kind of crumble.”
翻訳:
「vibe codingとは、目を閉じてコードを全く見ないでAIと一緒にコーディングする方法だ…目を閉じてコードを見ず、不安定な基礎の上にAIが階を追加していくと、やがて崩れ始める」
Cursor CEOですら警告している ことに注目してください。AIツールの開発者自身が、そのツールの誤用に警鐘を鳴らしています。
Javaの父の警告
James Gosling(Java創造者)の発言:
“As soon as your [vibe coding] project gets even slightly complicated, they pretty much always blow their brains out.”
“Not ready for the enterprise because in the enterprise, [software] has to work every fucking time.”
翻訳:
「プロジェクトがちょっと複雑になると、ほぼ必ず破綻する」 「エンタープライズには使えない。エンタープライズでは、ソフトウェアは毎回確実に動かなければならない」
Gosling の指摘:
- 複雑性への対処能力の欠如
- エンタープライズグレードの信頼性の欠如
- 「毎回確実に動く」という要件を満たせない
AI生成コードのデバッグは考古学
匿名の開発者の証言:
“Then it collapsed. No one could trace what was connected to what. Middleware was scattered across six files. There was no mental model, just vibes. We had to rewrite the whole thing from scratch because debugging was like archaeology.”
翻訳:
「崩壊した。何が何に接続されているか誰も追跡できなかった。ミドルウェアが6つのファイルに散らばっていた。メンタルモデルがなく、ただバイブスだけ。デバッグは考古学のようで、結局ゼロから書き直すしかなかった」
この証言が示すこと:
- 設計の不在
- ドキュメントの不在
- 理解不能なコードベース
- 最終的には 完全な書き直し
将来のメンテナへの呪い
セキュリティ研究者の警告:
“Future developers tasked to maintain vibe-coded projects will inherit a black box with no clear design, minimal comments and logic built through random regeneration. Fixing or expanding this code will be a nightmare.”
翻訳:
「vibe-codedプロジェクトのメンテナンスを任された将来の開発者は、設計が不明確で、コメントが最小限で、ランダムな再生成で構築されたロジックを持つブラックボックスを引き継ぐことになる。このコードの修正や拡張は悪夢だ」
経営者の視点
スタートアップCEOの証言:
“We thought we were saving money by moving fast with AI. Six months later, we’re paying consultants three times the original development cost to clean up the mess.”
翻訳:
「AIで速く動くことでコストを節約できると思っていた。6ヶ月後、元の開発コストの3倍をコンサルタントに払って後始末をしてもらっている」
コストの現実:
| 項目 | 初期 | 6ヶ月後 |
|---|---|---|
| 開発コスト | 100 | - |
| 修正コスト | - | 300 |
| 機会損失 | - | 不明 |
| 評判損害 | - | 不明 |
成功事例:適切な活用
否定的な証言だけではなく、成功事例も紹介します。
あるCTOの成功事例:
“We treat AI as a junior developer that needs constant supervision. Every PR gets reviewed, tested, and documented. It’s faster than before, but we never let our guard down.”
翻訳:
「AIを常に監督が必要なジュニア開発者として扱っている。すべてのPRはレビュー、テスト、ドキュメント化される。以前より速いが、油断はしない」
成功のポイント:
- AIを「監督が必要な存在」と位置づけ
- すべてのPRにレビュー
- テストとドキュメントを必須化
- 速度を追求しつつも、品質を妥協しない
共通する教訓
CTOたちの証言から、共通する教訓が見えてきます。
教訓1: 速度は負債を生む
- 速く作れても、後で払う
- 「3倍のコスト」になりうる
教訓2: 複雑性への対処が鍵
- 「ちょっと複雑になると破綻」
- 設計とドキュメントが必須
教訓3: レビューは必須
- AI生成コードを無批判に受け入れない
- 人間の目による確認
教訓4: 「ジュニア」として扱う
- 監督が必要
- 成果物を信用しない
この事例から学ぶべき教訓と実践ポイント
「CTOたちの証言」から学ぶべきことは以下の通りです。
-
権限システムの爆弾
- 2週間後に発覚、2日間で修正
-
Cursor CEOの警告
- 「不安定な基礎に階を追加すると崩れる」
-
Goslingの警告
- 「複雑になると必ず破綻」
-
デバッグは考古学
- 結局ゼロから書き直し
-
3倍のコスト
- 「速く」作っても後で払う
まとめ:重要ポイントの振り返り
- 権限システム事件 :2週間後に発覚、シニアが2日間で修正
- Cursor CEO :「不安定な基礎に階を追加すると崩れる」
- James Gosling :「複雑になると必ず破綻」「エンタープライズには使えない」
- デバッグは考古学 :結局「ゼロから書き直し」
- 3倍のコスト :「速く」作っても後で払う
- 成功事例:「ジュニアとして扱い、すべてをレビュー」
- 教訓:現場の声を聞け、同じ過ちを繰り返すな