プロンプトライブラリ構築
なぜプロンプトライブラリが必要か
“The best prompt is the one you don’t have to write again.”
効果的なプロンプトを毎回ゼロから書くのは非効率です。 再利用可能なプロンプトライブラリを構築することで、チーム全体の生産性が向上します。
AI開発プロンプトの分類体系
12.2.1 フェーズ別分類
開発ライフサイクル:
├── 設計フェーズ
│ ├── アーキテクチャ設計
│ ├── API設計
│ └── データベース設計
├── 実装フェーズ
│ ├── コード生成
│ ├── テスト生成
│ └── ドキュメント生成
├── レビューフェーズ
│ ├── コードレビュー
│ ├── セキュリティレビュー
│ └── パフォーマンスレビュー
└── 運用フェーズ
├── デバッグ
├── リファクタリング
└── 監視・分析
12.2.2 タスク別分類
タスクタイプ:
├── 生成系
│ ├── 新規コード
│ ├── テスト
│ └── ドキュメント
├── 変換系
│ ├── リファクタリング
│ ├── マイグレーション
│ └── 形式変換
├── 分析系
│ ├── コードレビュー
│ ├── バグ調査
│ └── パフォーマンス分析
└── 説明系
├── コード解説
├── アーキテクチャ説明
└── 意思決定記録
設計フェーズのプロンプト
12.3.1 アーキテクチャ設計
# アーキテクチャ設計プロンプト
## このプロンプトの用途と活用シーン
新機能や新システムのアーキテクチャを設計する
## コピー可能なAI開発プロンプト
以下の要件でアーキテクチャを設計してください。
### 要件
[要件を箇条書きで記述]
### 推奨される技術スタックと構成
[使用する技術を記述]
### 制約
- [スケーラビリティ要件]
- [パフォーマンス要件]
- [セキュリティ要件]
- [予算/期間の制約]
### 期待する出力
1. システム構成図(テキストベース)
2. コンポーネント間の責務分担
3. データフローの説明
4. 技術選定の根拠
5. 考慮したトレードオフ
6. 推奨するディレクトリ構造
12.3.2 API設計
# API設計プロンプト
## このプロンプトの用途と活用シーン
RESTful APIのエンドポイント設計
## コピー可能なAI開発プロンプト
以下のリソースに対するAPIを設計してください。
### リソース
[リソース名と概要]
### 必要な操作
- [CRUD操作の一覧]
- [特殊な操作があれば記述]
### 設計原則
- RESTful設計
- 適切なHTTPメソッドの使用
- 統一されたエラーレスポンス形式
- ページネーション対応
### 期待する出力
1. エンドポイント一覧
2. 各エンドポイントの詳細仕様
3. リクエスト/レスポンスのサンプル
4. エラーケースの定義
12.3.3 データベース設計
# データベース設計プロンプト
## このプロンプトの用途と活用シーン
テーブル設計とスキーマ定義
## コピー可能なAI開発プロンプト
以下の要件でデータベースを設計してください。
### 管理するデータ
[エンティティと属性を記述]
### リレーション
[エンティティ間の関係を記述]
### 制約
- [正規化レベル]
- [パフォーマンス要件]
- [データ量の見込み]
### 使用するDB/ORM
[PostgreSQL/MySQL + Prisma/TypeORMなど]
### 期待する出力
1. ER図(テキストベース)
2. テーブル定義
3. インデックス設計
4. Prisma/ORMスキーマ
実装フェーズのプロンプト
12.4.1 コンポーネント生成
# コンポーネント生成プロンプト
## このプロンプトの用途と活用シーン
Reactコンポーネントの新規作成
## コピー可能なAI開発プロンプト
以下の仕様でReactコンポーネントを作成してください。
### コンポーネント名
[名前]
### 機能
[コンポーネントが提供する機能]
### Props
- [prop名]: [型] - [説明]
- [prop名]: [型] - [説明]
### 状態
[管理する状態があれば記述]
### 要件
- TypeScript使用
- 関数コンポーネント
- Tailwind CSSでスタイリング
- アクセシビリティ対応
- レスポンシブ対応
### AI開発で避けるべき禁止事項
- any型の使用
- インラインスタイル
- クラスコンポーネント
12.4.2 APIエンドポイント実装
# APIエンドポイント実装プロンプト
## このプロンプトの用途と活用シーン
APIエンドポイントの実装
## コピー可能なAI開発プロンプト
以下のAPIエンドポイントを実装してください。
### エンドポイント
[HTTPメソッド] [パス]
### 機能
[このエンドポイントが行う処理]
### 入力
- パラメータ: [パスパラメータ]
- クエリ: [クエリパラメータ]
- ボディ: [リクエストボディのスキーマ]
### 出力
- 成功時: [レスポンスのスキーマ]
- エラー時: [エラーレスポンス]
### 要件
- 認証: [必要/不要]
- バリデーション: zodスキーマ
- エラーハンドリング: try-catch
- ログ出力: 適切なレベルで
12.4.3 テスト生成
# テスト生成プロンプト
## このプロンプトの用途と活用シーン
ユニットテスト/統合テストの生成
## コピー可能なAI開発プロンプト
以下のコードに対するテストを生成してください。
@[テスト対象のファイル]
### テストフレームワーク
[Jest/Vitest/etc]
### カバーすべきケース
- 正常系: [主要なパス]
- 異常系: [エラーケース]
- エッジケース: [境界値など]
### テストの原則
- Arrange-Act-Assertパターン
- 各テストは独立
- モックは最小限
- 説明的なテスト名
### モック対象
[外部依存のモック方法]
レビューフェーズのプロンプト
12.5.1 コードレビュー
# コードレビュープロンプト
## このプロンプトの用途と活用シーン
コードの品質チェック
## コピー可能なAI開発プロンプト
以下のコードをレビューしてください。
@[レビュー対象のファイル]
### レビュー観点
1. 可読性
- 命名は適切か
- 構造は明確か
- コメントは必要十分か
2. 保守性
- DRY原則に違反していないか
- 単一責任原則を守っているか
- 適切に抽象化されているか
3. パフォーマンス
- 非効率な処理はないか
- N+1問題はないか
4. エラーハンドリング
- 例外処理は適切か
- エッジケースは考慮されているか
### 期待する出力形式の指定
- 問題の重要度(Critical/Major/Minor)
- 該当箇所
- 問題の説明
- 改善案(コード例付き)
12.5.2 セキュリティレビュー
# セキュリティレビュープロンプト
## このプロンプトの用途と活用シーン
セキュリティ脆弱性のチェック
## コピー可能なAI開発プロンプト
以下のコードをセキュリティの観点からレビューしてください。
@[レビュー対象のファイル]
### チェック項目(OWASP Top 10ベース)
1. インジェクション(SQL, Command, XSS)
2. 認証・認可の不備
3. 機密データの露出
4. XML外部エンティティ
5. アクセス制御の不備
6. セキュリティ設定ミス
7. クロスサイトスクリプティング
8. 安全でないデシリアライズ
9. 既知の脆弱性を持つコンポーネント
10. ログ・監視の不足
### 期待する出力形式の指定
- 脆弱性の種類
- リスクレベル(High/Medium/Low)
- 該当箇所
- 攻撃シナリオ
- 修正方法
12.5.3 パフォーマンスレビュー
# パフォーマンスレビュープロンプト
## このプロンプトの用途と活用シーン
パフォーマンス問題の特定
## コピー可能なAI開発プロンプト
以下のコードをパフォーマンスの観点からレビューしてください。
@[レビュー対象のファイル]
### チェック項目
1. アルゴリズム効率
- 時間計算量は適切か
- 空間計算量は適切か
2. データベース
- N+1クエリはないか
- 適切なインデックスが使われているか
- 不要なデータを取得していないか
3. メモリ
- メモリリークの可能性はないか
- 大きなオブジェクトの扱いは適切か
4. 非同期処理
- 並列化できる処理はないか
- ブロッキング処理はないか
### 期待する出力形式の指定
- 問題の種類
- 影響度の推定
- 該当箇所
- 改善案
運用フェーズのプロンプト
12.6.1 デバッグ
# デバッグプロンプト
## このプロンプトの用途と活用シーン
エラーの原因調査と修正
## コピー可能なAI開発プロンプト
以下のエラーを調査してください。
### エラー情報
[エラーメッセージ/スタックトレース]
### 再現条件
[わかっていれば記述]
### 調査ステップ
Step 1: エラーの直接的な原因を特定
Step 2: 関連するコードを確認
Step 3: 根本原因を推測
Step 4: 修正案を複数提示
Step 5: 推奨する修正とその理由
### 関連ファイル
@[関連するファイル]
12.6.2 リファクタリング
# リファクタリングプロンプト
## このプロンプトの用途と活用シーン
コードの改善
## コピー可能なAI開発プロンプト
以下のコードをリファクタリングしてください。
@[リファクタリング対象のファイル]
### 改善目標
[具体的な改善目標]
### 制約
- 外部インターフェースは変更しない
- 既存のテストをパスすること
- 振る舞いを変えない
### 適用したいパターン
[特定のパターンがあれば指定]
### 期待する出力
1. リファクタリング後のコード
2. 変更点の説明
3. 改善された点の解説
ライブラリの管理
12.7.1 ディレクトリ構造
prompts/
├── design/
│ ├── architecture.md
│ ├── api.md
│ └── database.md
├── implement/
│ ├── component.md
│ ├── api-endpoint.md
│ └── test.md
├── review/
│ ├── code.md
│ ├── security.md
│ └── performance.md
├── operate/
│ ├── debug.md
│ ├── refactor.md
│ └── migrate.md
└── README.md
12.7.2 テンプレートのフォーマット
# [プロンプト名]
## このプロンプトの用途と活用シーン
[このプロンプトを使うシーン]
## 対象ツール
[Claude Code / Cursor / Copilot など]
## コピー可能なAI開発プロンプト
[プロンプト本文]
## 変数
- `[変数名]`: [説明]
## 使用例
[実際の使用例]
## 注意事項
[使用時の注意点]
## 更新履歴
- YYYY-MM-DD: 初版作成
12.7.3 バージョン管理
- Gitでプロンプトライブラリを管理
- 変更履歴を記録
- チームでレビューしてから統合
AI開発ツールのチーム活用
12.8.1 共有と改善
## AI開発プロンプト改善サイクル
1. 使用: プロンプトを使って作業
2. 記録: 結果と改善点をメモ
3. 提案: 改善案をPRで提出
4. レビュー: チームでレビュー
5. 統合: 承認後にマージ
6. 共有: チームに周知
12.8.2 効果測定
| 指標 | 計測方法 |
|---|---|
| 使用頻度 | 週次の使用回数を記録 |
| 満足度 | 5段階評価でフィードバック |
| 時間短縮 | プロンプト使用時/未使用時の比較 |
| 品質 | 生成コードのレビュー指摘数 |
今日から実践できるアクション
- よく使うプロンプトを3つ選ぶ: 自分の作業で頻繁に使うもの
- テンプレート化する: 再利用可能な形式に整理
- チームで共有する: prompts/ ディレクトリを作成
まとめ:重要ポイントの振り返り
- 分類体系: フェーズ別・タスク別に整理
- テンプレート化: 再利用可能な形式で管理
- バージョン管理: Gitで履歴を追跡
- チーム共有: 知見を共有して全体の生産性向上
- 継続改善: 使いながら改善していく
- 教訓:良いプロンプトは資産、ライブラリとして育てる